マツダ ロータリーエンジン ルマンへの挑戦

1991年1台の日本車が初めて世界の頂点に輝きました。車はマツダ787−B ロータリーエンジンを搭載していました。 それ以前にもマツダ以外にトヨタ、日産等が果敢に挑戦していた世界最高峰の耐久レースで、後にも先にも日本車で優勝したのは この年のただ一回という、日本が誇るべき金字塔を打ち立てました。

目次

ルマン24時間レースとは?

ル・マン24時間耐久レース。それは、フランスパリの南西200キロにある小さな村であるルマンで毎年行われる世界最高峰の自動車耐久レースです。 1週13.5キロメートルのサーキットを24時間走り、最も多く周回した車が優勝となります。 世界中の各メーカーが技術力を惜しみなくつぎ込む最高出力700馬力以上最高速度は300km/h以上に達するマシンで争われるこのレースは、全体の平均時速が200km/h以上にも達し、 エンジンやタイヤを酷使し、ドライバー体力、精神力の限界を要求する非常に過酷な自動車競技です。

ルマン二十四時間レース"/

自動車企業マツダとロータリーエンジン

マツダの全身、東洋工業は広島で大正9年に松田恒次社長が3輪自動車メーカーとして起業しました。 1945年 広島に原爆が投下され、東洋工業は奇跡的に被害を逃れ、広島復興の拠点として尽力することになります。

日本の工業力が活気付き、マイカー時代と呼ばれる昭和三十年代、2大メーカーであるトヨタ、日産の自動車が国民の人気を博していました。 コロナやブルーバードと言った4輪自動車に対抗し、その頃の乗用車の中では最も低コストのR360クーペの成功でようやく3輪トラックから4輪の市場に 食い込んだ矢先に問題が直面した。 当時、政府が外国車輸入自由化に向け国内実業の力を高める目的で弱小企業を合併する策を講じていた。 マツダはその煽りを受けて、トヨタ自動車との合併が騒がれ、実際に迫れていた状況だった。 その打開策として、その頃試験開発が成功したという過去200年間誰もが実現し得なかったロータリーエンジンの開発に賭けたのであった。 広島の技術者たちがロータリーエンジンの開発に成功したことに目をつけて ロータリーエンジンの開発を会社の、祖国の復興の為に全てを堵した。 集まった技術者は47名。忠臣蔵に因んで「ロータリー四十七士」と呼び合った。 契約金は会社の従業員8000人分の月給に相当する。試験用エンジンにあった数々の欠陥に加え、社会や会社内部からの批判 という逆境の中、見事欠陥を克服しマツダ・コスモスポーツに搭載され、販売されたのである。そのエンジンは開発の精神「飽くなき挑戦」と共に会社の魂となったのである。

ロータリーエンジン。"/

MAZDA 787B

マツダ787Bはマツダが1970年から戦い続けてきた技術の極点にありました。マツダはシェブロンB16からスタートし、RX-7、717〜767、そして787と進化してきました。 Bは改良モデルにつけられます。

787B"/
787Bのスペック
マツダ 787B
シャーシ カーボンコンボジット
全長 4782mm
全幅 1994mm
全高 1003mm
ホイールベース 2662mm
車両重量 830kg以上
エンジン R26B改型直列4ロータリーNAユニット654cc×4
最高出力 700馬力/9000rpm
最大トルク 62.0kgm/8000rpm
ミッション H型5速MT

R26Bエンジンは700馬力、ロータリー史上最強のエンジンだったが、ライバルのメルセデス、前年度優勝ジャグワーやプジョー等の強豪チームは、 それをさらに超える800馬力級のエンジンが主流であった。しかし、ロータリーエンジンは通常エンジンの2/3の大きさ。シャシー形状のデザインの自由度と、 なによりその軽さを武器に立ち向かっていったのである。

ザウバーメルセデスレースカー"/ザウバーメルセデスレースカー

'91結果

順位 マシン/週回数
優勝 55マツダ/362周
準優勝 35ジャグワー/360周
3位 34ジャグワー/358周
4位 33ジャグワー/356周
5位 31ザウバーメルセデス/355周
6位 18マツダ/355周
7位 58ジョストポルシェ/347周
8位 56マツダ(787)/346周

リンク集

さいごに

マツダはこのルマンの優勝で、ロータリーエンジンの名声を世界にとどろかせました。しかし、バブル崩壊により経営は悪化。平成8年四月、マツダはアメリカ・フォード子会社となった。 高出力故の燃費の悪さがネックのロータリーエンジンは新経営陣に開発中止を迫られた。しかし、その中でも妥協を許さない開発の信念を貫き通し、燃費が向上した新しいロータリーエンジンの搭載車も出荷しました。「飽くなき挑戦」の言葉と共に、これからもマツダは挑戦は続いていくでしょう。